「また今日もたくさん子どもたちを叱ってしまった」「毎日同じことで叱っているな」と感じることありませんか?本当は毎日ニコニコ楽しく過ごしたいのに、気がつけば眉間に皺を寄せ、声を荒げ、子どもたちを叱る日々・・・「でも、子どもたちのためだから」。ちょっとストップ!それって本当に子どもたちのためになってますか?今回は教育評論家の親野智可等さんの記事を元に「叱る」「褒める」について考えてみたいと思います。
この記事はこんな方に向けて書いています
- つい子どもを叱り過ぎてしまう
- 叱った後に自己嫌悪になる
- 叱らずに済む方法があるなら知りたい
教育評論家・親野智可等さん
画像引用元:http://www.oyaryoku.jp/
本名 杉山 桂一さん。
長年の教師経験をもとにメールマガジンを発行すると、「具体的ですぐできるアイデアが多い!」と評判を呼び、新聞、雑誌、テレビ、ラジオなど各メディアで絶賛されました。
以降、書籍の販売や多数の教育情報誌で連載をされています。
教師時代、ご自身が持つクラスが学級崩壊した経験を元に子どもとの向き合い方を提案されており、非常に説得力があります。子育て、しつけ以外にも「勉強方法」について定評があり、人気漫画『ドラゴン桜』の指南役としても著名。
HP、メルマガは子育て中の私たちにとって興味深い内容がたくさん掲載されているので、オススメですよ。
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親力 | 教育評論家・親野智可等のホームページ
「叱る」ことの弊害とは?
叱られ続けると、子どもはどんどん自信をなくしていきます。
親野さんのコラムに「親のひどい言葉はシロアリのように子を蝕む」という言葉がありました。親が子どもを叱り、子どもにひどい言葉を浴びせたとしても、子どもはすぐに「親に叱られたことで自分に自信が持てなくなってきている」とは気がつきません。
しかし、叱られ続けることで、ひどい言葉を浴びせ続けられることで、子どもの心は少しずつダメージを受けていきます。その様子を家に巣くうシロアリに例えています。
シロアリの被害はすぐには気がつかないけれど、それが表面化してきた時には、既にかなり被害が進んでいるのです。子どもの心は、本人も気がつかないうちにジワジワとダメージを受けています。
もうひとつ。同じ「叱る」でも「あんたなんか、いなければ良かったのに」といった存在否定の言葉や、「意地悪な子だね。」といった人格否定の言葉はNG。叱るのなら、「物事について叱る」ようにしましょう、という話。
「ちゃんと片付けないとダメでしょ」「宿題やりなさいって言ったでしょ」「言われなくても歯磨きしないとダメでしょ」といった「物事について具体的に叱る」のならそれは「しつけ」であり、必要なことです、という話です。
これは実際よく聞きますし、一見正論です。
しかし、親野さんはこれにも疑問を投げています。確かに物事について叱られているけれど、その叱られている対象は紛れもなく自分だからです。いくら親が「物事」について叱っていても、子どもにとっては「自分が叱られている」という括りで結論は同じになる、と語っています。
「叱る」をやめるシステムを作る
そこで「叱る」をやめるシステムを考えよう、と提案しています。
親が子どもを叱る内容は、ほぼパターン化されています。それなら、叱っている内容をリストアップして「叱らなくて済む」ようなシステムを作ればいいんじゃないか、というものです。具体例がいくつか出ていましたが、面白いなと思った3つをご紹介します。
学校のように家でもタイムスケジュール(時間割)を作れば時間の管理がスムーズになるというもの。時間の感覚がまだ曖昧な小さい子どもには時計の絵で見せるのもオススメです(9時を指してる時計には「幼稚園へ出発」など)
時間や予定を「見える化」してあげることで、子どもも「次に何をしたらいいか」ということが明確になりますね。スケジュールを立てるというと、ビジネスライクな感じもしますが、子どもは背伸びしたい生き物。上手くいく予感がします。
手洗い、歯磨きなどの生活習慣は毎日のこと。楽しく続けられる仕組みがあると良いですね。「手洗い」「歯磨き」などはもちろん、「宿題」「明日の準備」などを自主的に取り組めるきっかけになるかもしれません。もちろん、手作りでも良いと思いますが、妹が良い物を利用していたのでご紹介します。この春から1年生になる子どもが利用しているそうです。新1年生のワクワク感と合わせて良いスタートが切れそうですよね。
1日のどこかで、たった3分で良いので「お片付けタイム」を設けましょう、という内容です。部屋が多少散らかってしまっても、この「お片付けタイム」があるから、それ以外の時に叱る必要がなくなります。ここでオススメしたいのが、お片付けタイムでBGMを流すということ。
小2の次男のクラスでは、帰りの支度の時に「スーパーマリオ」の曲が流れるそうで、これが「帰り支度の合図」になっているんだとか。「急いで帰りの支度して!」と先生が言うより「マリオ鳴ったから急がなきゃ!」と子どもたちが自主的に動けるし、遊び心もある。子どもには効果バツグンだと思いました。
ついつい使いがちな「脅し文句」
いけないと分かっていてもつい使ってしまう「脅し文句」。
「言う事聞かないなら置いていくよ」「片付けないならもうオモチャ買わないよ」など、私も日常的に使ってしまっています。しかし、これは脅しですよね。子どもはそうなるのがイヤだから渋々言う事を聞く。
以前、「つい脅し文句を使ってしまう叱り方をやめたい」という新聞の投稿を目にしました。そこでのアンサーは「言い方を逆にしてみませんか?」というもの。
「片付けないなら買わないよ」ではなく、「片付けたらまた買ってあげるよ」という。なるほど、意味は同じでも子どもへの伝わり方はマイルドになりますよね。しかも、これならすぐに実践できそう!言い方を逆にするだけ。
我が家の子どもたちは幼い頃、は宇宙人をとても怖がっていました。
「言う事聞かないと宇宙人が迎えに来るよ!」というのが常套句でしたが、これも脅しだな、と思ったわけです。じゃあ、言い方を逆にしてみたらどうでしょう?「良い子にしてれば宇宙人も諦めて帰っていくね」
宇宙人は悪い子を集めて何をしようとしていたのでしょうか?そもそも宇宙人ってナニ?
何か・・・考えだすと・・・色々と怖い!(笑)
叱る前に一呼吸おいてみる
今回の記事を書きながら自分の育児を振り返ってみると、私はしょっちゅう子どもたちを叱っていたなと思います。
「叱る」ことをやめることで得られるものがあること、子どもへ良い影響があることもよく分かりました。でも、今まで自分が叱ってきたこと全てが間違いかと言ったら、そうでもないと思うんです。
中には「叱らなくてはいけないこと」も絶対にあったと感じます。ただ、同じくらい(もしくはそれ以上)「叱らなくてもよかったこと」もあるな、と思いました。
叱るほどのことではなかった、ただ話して聞かせれば良かったことも、今思えばたくさんありました。ではなぜ叱ってしまったのか?
それは私に余裕がなかったから。
イライラしていたから。
叱って言う事を聞かせたほうが手っ取り早かったから。
簡単だったから。
それが正直なところです。
でも、やっぱりそれは良くない。
子どもには「自分がダメだから叱られている」というマイナスな気持ちは持ってほしくない。だから、今からでも出来る事からやってみようかなと思っています。子どもを叱る場面になったら、一呼吸おいて「本当に叱らなきゃいけないこと?」を自問してみる。そんな努力をするだけでも、子どもを叱る回数は減るであろうし、子どもとの向き合い方も変わるのではないか、と感じています。(後編へ続く)
【参考文献・URL】
・暮らしのおへそ(私のカントリー別冊)vol.21 2016年2月14日発行
・親力 | 教育評論家・親野智可等のホームページ
http://www.oyaryoku.jp/