【オススメ読書】 『#真相をお話しします』 結城真一郎

読書
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テレビやSNSで話題となった本。短編集なのでスラスラ読み進められ、あっという間に読了!普段あまり小説は読まない、ミステリも読まない、という人でも読みやすい本だと思います。現代版「世にも奇妙な物語」といった感じで、ゾワっとする怖さがありました。

 

あらすじ

 

私たちの日常に潜む小さな”歪み”、

あなたは見抜くことができるか。

 

家庭教師の派遣サービス業に従事する大学生が、とある家族の異変に気がついて……(「惨者面談」)。不妊に悩む夫婦がようやく授かった我が子。しかしそこへ「あなたの精子提供によって生まれた子供です」と名乗る別の〈娘〉が現れたことから予想外の真実が明らかになる(「パンドラ」)。子供が4人しかいない島で、僕らはiPhoneを手に入れ「ゆーちゅーばー」になることにした。でも、ある事件を境に島のひとびとがやけによそよそしくなっていって……(「#拡散希望」)など、昨年「#拡散希望」が第74回日本推理作家協会賞を受賞。そして今年、第22回本格ミステリ大賞にノミネートされるなど、いま話題沸騰中の著者による、現代日本の〈いま〉とミステリの技巧が見事に融合した珠玉の5篇を収録。

 

Amazon商品ページより

 

 

読んだ感想

 

テレビやネットで度々取り上げられ、話題になった本。

「発売即大重版」というキャッチコピー。

「書店員騒然」と大きく書かれたポップ。

 

大量に本が陳列された特集コーナーに、興味を惹くタイトル、表紙、帯。

これはジャケ買いする気持ちも分かります。SNSを見ていると、

 

「普段小説は読まないが、話題だったので読んでみた」

「表紙に惹かれて購入した」

 

といった感想もズラリ。

 

我が家の小6の長男も、リビングに置かれたこの本を見て、

「この本どうしたの?面白そう!」

と食いついていました。

物語はスラスラ読み進めることができて、あっという間に読了。短編小説5編で構成されていて、それが後で繋がる……ということはなく、独立したスタイル。

個人的に面白かったのは、「惨者面談」「#拡散希望」。

「惨者面談」は、途中までは展開が予想できたものの、最後までは予想できませんでした。軽い敗北感。

「#拡散希望」も、今の時代に合った内容だと思います。

 

面白かったのですが……読み終わった後に残るモヤモヤ。このモヤモヤの正体は何だ?とさらにモヤモヤしていた私。色々な方の読書レビューを読んでいて、「これだ!」と思った内容がありました。

 

「内容の厚みがない」
「伏線がワンパターンで先が読めてしまう」
「情景や感情の表現が乏しい、映像や匂いが浮かび上がるような描写がない」

 

酷評のようですが、一理あると思えるようなレビュー。私はミステリ小説が好きですが、読み終えた後にじわーっと余韻に浸りたくなるようなミステリが好みです。確かに、そういった本は文字だけで映像や匂いを浮き上がらせる力があるような気がします。

東野圭吾さんや宮部みゆきさんが好きでよく読みますが、読了後は必ずRPGのゲームをやり遂げたかのような達成感があります。そういう意味では少し物足りなさを感じました。

ただ、「新しい時代の推理小説」と言われれば納得!!普段小説を読まない層の人々が本を手に取るきっかけとなり、小説に注目が集まるなら読書好きとしては嬉しい限りです。

 

我が家の息子たちを見ていても、漫画や動画、ゲームが日常に溶け込んでいる反面、小説はハードルが高い様子。「時間があるからちょっと動画でも見ようか」はあっても、「ちょっと小説読もうか」とは絶対なりません。

この本のように、SNSや動画など身近な題材で「面白そう」と興味を惹きつけて、彼らの日常の延長線上に「小説」が出てくれば、それは願ったり叶ったり。

 

漫画のような可愛い絵もなければ、動きもしない。スキップできないし、最初からじっくり読む必要がある。

それでも、文字だけでこんなに面白い世界を作り出せる「小説」の魅力を、小説にしか出せない感動をもっともっと知って欲しいと思いました。(ええ、ゲーム三昧の息子たちに。)

 

 

ミステリ?謎解き??

この本を読みながら思い出したのが「ウミガメのスープ」

学校で流行っていたらしく、私も子供たちから何度か出題されました。「ウミガメのスープ」は、いわゆる推理ゲームで、回答者は出題者に「YES」「NO」「関係ありません」で答えられる質問をしていき、回答を導き出すゲームです。

 

【例題】

ある男が、とある海の見えるレストランで「ウミガメのスープ」を注文した。

スープを一口飲んだ男は、それが本物の「ウミガメのスープ」であることを確認し、勘定を済ませて帰宅した後、自殺した。一体、なぜ?

 

※ちなみに、この例題が元となり「ウミガメのスープ」というゲームが誕生したそうです。

 

【回答】

男はかつて数人の仲間と海で遭難し、とある島に漂着した。食料はなく、仲間たちは生き延びるために力尽きて死んだ者の肉を食べ始めたが、男はかたくなに拒否していた。見かねた仲間の一人が、「これはウミガメのスープだから」と嘘をつき、男に人肉のスープを飲ませ、救助が来るまで生き延びさせた。男はレストランで飲んだ「本物のウミガメのスープ」とかつて自分が飲んだスープの味が違うことから真相を悟り、絶望のあまり自ら命を絶った。

 

だいぶ飛躍した回答のように思えますが、この回答を導き出すために質問を重ねていくのがゲームの醍醐味!

 

【質問例】

質問1:男がウミガメのスープをレストランで注文するのは初めてでしたか?

回答1:YES、初めてです。

質問2:自殺の理由は金銭的な問題ですか?

回答2:NO、男はお金には困っていませんでした。

質問3:男は、ウミガメのスープを飲んだことがきっかけでなにかを知りましたか?

回答3:YES!

 

 

他にも色々な問題があり、家族で楽しめるようなカードゲームも発売されています。

 

固定観念に縛られることなく、さまざまな角度から想像力を働かせる「水平思考推理クイズ」。右脳が鍛えられるとして、子供だけでなく幅広い年齢層に人気のようです。

「真相をお話しします」も読み進めながら、「騙されないぞ」「真相を見破るぞ」と慎重に読み進めていたので、子供が出題したウミガメのスープの問題を考えていた時と同じような状況だったのかもしれません。

ミステリ好きとしてはウミガメのスープも簡単に見破ってやろうと思っていたのですが(大人げないですね^^;)、そう簡単にはいきませんでした

 

ミステリ好きの方、謎解きが好きな方はぜひどうぞ♪

 

 

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