「今日、学校で読み聞かせしてもらった本がすごく面白かった!もう1回じっくり読んでみたい!」興奮気味の長男(小5)に勧められ、図書館で借りて早速読んでみることに。この絵本……ひょっとして大人向けに描かれている?グサリグサリと突き刺さる内容。中学、高校、大学とこれから成長と共に、どんどん世界の広がる子どもたち。親子で一緒に読んで、読んだ後に話し合いたい1冊です。
あらすじ
金色のたてがみを持つ金ライオンは、一国の王になりたかった。
自分こそが王にふさわしいと思っていた。
ところが、街はずれに住む優しい銀のライオンが
「次の王様候補」と噂に聞く。
そこで金のライオンはとんでもないことを始めた――。
登場するのは動物ばかり。人間はひとりも出てきません。
けれど1ページ目はこの言葉から始まります。
「これが全て作り話だと言い切れるだろうか」
あらすじ引用先:二番目の悪者 | 小さい書房
https://chiisaishobo.com/nibanmenowarumono/
読んだ感想
ネタバレを含みますのでご注意ください!絵本を読んだ後に、またご覧いただけると嬉しいです♪
「考えない、行動しない、という罪」
この本の帯に書かれた言葉です。
「僕は聞いた話を、友達に教えてあげただけなんだよな。でも、自分の目で何か一つでもたしかめたっけ……?」
物語に出てくる野ネズミが終盤つぶやく言葉。
金のライオンは銀のライオンを貶めるために嘘を広め、さらに拡散していく動物たち。それを信じた動物たちにより、金のライオンが新しい王となり、結局国は滅びてしまいます。
「金のライオンのせいで」と皆、口にしますが……
本当に金のライオンだけが悪かったのでしょうか?
というお話しです。
金のライオンの嘘に誰も乗らなければ、みんなが真実を見ようとすれば、自分の意思を持って行動していれば、国は滅びなかったはず。SNSで簡単に情報を拡散したり、LINEで転送したり、指1本で情報を広められる時代だからこそ、考えたい内容です。
二番目の悪者は誰だったのか。
子どもたちと読んだ後に伝えるなら、金のライオンのように嘘を広めるのがいけないのはもちろんだけれど、自分で確認していないことを広めたり、その噂に流された行動をしたりするのは良くない。
では、銀のライオンのように、濡れ衣を着せられた時にはどうするか?
身に覚えのないことには「やっていない」とはっきり伝える勇気を持ってほしい。難しいことですが、間違っていることは「間違っている」、やっていないことは「やっていない」とはっきり伝える強さを持ってほしい。
銀のライオンはなぜ、濡れ衣を否定しなかったのか?本当の優しさって何だろう?
とても考えさせられる絵本、きっと答えはひとつではないのだろうと思います。
メディアリテラシー?ママ友いじめ?身近にもあるような話
私は社会学部出身ですが、卒業したのはもう20年も前で、難しい講義はほとんど何も覚えていません(笑)。それでも、この絵本を読んで久しぶりに思い出した言葉があります。
メディアリテラシー
メディアリテラシーとは、メディアから得た情報に対して、自分で考える、確認するといった行動を通して情報を見極めるスキルのことです。情報の発信、拡散が簡単に行えるようになった現代では、たくさんの情報の中から正しい情報、信頼できる情報を自ら探しに行く必要があります。
フェイクニュースや誤った情報を鵜呑みにした結果、私たちがあの動物たちと同じ結末を迎える可能性もあります。国は滅びなくとも、自分への信頼や人間関係を滅ぼすのなんて、あっという間です。
メディアリテラシーの言葉と、もうひとつ思い出したことがありました。いわゆる「ママ友いじめ」です。
もう何年も前、息子が幼稚園に通っていた頃の話。
何がきっかけだったのか忘れましたが、一人のママが「私、Aちゃんママ苦手なんだよね」と発言。「前に遊んだ時に、○○と言われて、他にも……」と、悪口は続きます。
すると、他のママも「あ、そういえば私も……」とAちゃんママを苦手な理由を話しはじめました。
中には、「それ本当?」と思うような話も。
「○○って聞いたよ、他のママから」
いや、聞いた話かい!と内心ツッコミつつ、みんなここで発散して気が済んだのかな、などとのん気に思っていると、翌日。
あの場にいたママや、いなかったママまでAちゃんママと距離を取り始めました。
遊びに誘わない。Aちゃんママが来たら会話ストップする。大人の世界でもこんなことしているのだから、子どもの世界からいじめがなくなるわけないよな、と思いながら何とも嫌な気持ちでした。
と、偉そうに言っている私も、「どう思う?」と聞かれて、「Aちゃんママとあまり話したことないから、正直よく分からない。だから苦手とかも特にないかな」と言うのが精いっぱいでした。
本当は、「どちらかと言えば、そうやって、影で悪口言っているほうが嫌」と言ってやりたかったけど、そこまでは言えず……
そういう意味では、「私だけは正しかった!悪口に乗らなかったから!」なんて勇敢な話ではなく、結局、私も他のママと同じ、二番目の悪者でした。
その後、Aちゃんママと話す機会があり、今でも連絡を取っています。(じっくり話してみたら良い人だった!)
誰かが苦手と言っている人が、自分にとっても苦手とは限らないし、逆に良い人と言われてる人が、自分にとって良い人とも限らない、と身を持って知った経験でした。
子どもに伝えることと自分の行いに矛盾が生じないよう、私も自分の目で見て、自分の頭で考えて行動していきたいと思います!