だいぶ前に購入し、つい先日やっと読み終わりました。読後の余韻が残っている間に読書感想を書きたいと思います。かなり有名な本なので、あちこちに読書感想が載っていますが・・・気にせず参ります。
あらすじ
不登校の少女が鏡の向こうの世界で出会ったのは――生きづらさを感じているすべての人に贈る物語。一気読み必至の著者最高傑作。あなたを、助けたい。
学校での居場所をなくし、閉じこもっていたこころの目の前で、ある日突然部屋の鏡が光り始めた。輝く鏡をくぐり抜けた先にあったのは、城のような不思議な建物。そこにはちょうどこころと似た境遇の7人が集められていた――
なぜこの7人が、なぜこの場所に。すべてが明らかになるとき、驚きとともに大きな感動に包まれる。
生きづらさを感じているすべての人に贈る物語。一気読み必至の著者最高傑作。
※あらすじ引用先:https://www.kinokuniya.co.jp/f/dsg-01-9784591153321
かがみの孤城 / 辻村 深月【著】 – 紀伊國屋書店ウェブストア
読み終えた感想
多少のネタバレ含みます。絶対に結末知りたくない!という方は、スルーしてくださいね。
本屋大賞をはじめ数々の賞を受賞した今作品。
書店でも盛大にPRされ、注目度は抜群だったと思います。「これは絶対に読んでみたい!」と購入してからも、なかなか読書の時間がとれず読むのに時間がかかってしまいましたが、かつての私であれば間違いなく一気読みしたであろう本。
結果的にちょこちょこ読みになってしまいましたが、それでも読みやすい本でした。最近流行りのイヤミスのように嫌な読後感が残ったり、「解釈の仕方はあなた次第」的なスッキリしない終わり方ではなく、しっかり話が解決して気持ちよく本を閉じることができました。
物語はファンタジー要素が強く、ミステリー要素は弱め。物語の後半、ミステリー要素がちらほら出てきますが、伏線がひとつひとつ丁寧に回収されていくのはお見事だと思いました。
ミステリー好きの私にとっては、「ミステリー」としては物足りない部分もありつつ、それを埋めるくらいのメッセージ性のある物語でした。この本の大きなメッセージとして「居場所はひとつではない」ということがあります。
それを象徴するセリフとして主人公の友達が放つ「たかが学校」という言葉があります。不登校の主人公にとって学校は「人生の全てを支配しているくらい大きなもの」であり「たかが学校」なんて割り切れるはずはないけれど、この言葉をきっかけに主人公の感情も大きく動き出します。自分も学生時代、本当に狭い社会を生きていたことを思い出しました。学校、部活、塾、家族。そこだけが自分の全てだった頃を思い出しました。
「生きづらさを感じているすべての人に贈る物語」
とあるように、作者の強いメッセージを感じられる作品でした。学校の図書室とか推薦図書にして、ぜひ多くの若者にも、そして子育てママにもぜひ読んでもらいたい一冊でした。
この閉塞感は子育て中にも共通する
この本を読みながら、私は長男の子育てをしていた時のことを思い出しました。
引越し先の地でひとり子育てをしていました。
もちろんママ友なんてまだいないし、旦那さんは帰りが遅く、平日は朝から夜眠るまで子どもと2人きり。
今までに感じた事のないような不安や孤独を感じることも多くありました。「育児ノイローゼ」「産後うつ」のニュースを見ると、とても他人事には思えませんでした。
育児が思うようにいかず、悩んでは行き詰まり、自己嫌悪になったり、体調を崩したり、辛い日々もありました。
その頃の私にとってはまさに子どもと2人きりのこの空間こそが人生の全てであり、狭い世界を生きていました。もしタイムスリップできるなら言ってあげたい。
この生活が全てではないよ。大丈夫。
外に出れば世界はたくさん広がっているから。大丈夫。
子どもたちは驚くほど自立して、あっという間にママから離れていくから。大丈夫。
熱いラーメンを熱いうちに食べられるときがくるから。大丈夫。
録画してたドラマを最後まで邪魔されず見られる日もくるから。大丈夫。
ゆっくり湯舟にひとりで浸かれる日もくるから。大丈夫。
夜中に起こされず7時間たっぷり眠れる日もくるから。大丈夫。
「母」「妻」としての自分だけじゃなく、ひとりの人間として輝けるときがちゃんとくるよ。やりたいこともちゃんと見つかる。
そしてそれができる時間もできる。大丈夫。
「今」辛いこと、思うようにいかないことだけが、あなたの全てじゃないから。大丈夫。
「生きづらさを感じているすべての人に贈る物語」
と題された『かがみの孤城』がこんなにヒットしたように、育児を頑張るママたちを勇気づけてくれるようなものが世の中にもっともっと浸透していくことを願っています。