【オススメ読書】 『ぬるい生活』 群ようこ

読書
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エッセイよりも小説派の私ですが、群ようこさんのエッセイは秀逸!!

スラスラ軽く読めるのに、もう一度読み返したいようなグッとくるポイントも多数。この1冊だけで群ようこさんのファンになりました。自分におこる変化を時に面白く、時にぬるく流していく、肩の力がいい具合に抜ける1冊です。

あらすじ

 

 

年齢を重ねるにつれ、体調不良、心の不調など、様々な問題は出てくるもの。そんな“ままならなくなってくる自分”をそのまま受け止めて、ぬるーく過ごす。無理も我慢もしない。面倒になったらやらない。自分を甘やかしてかわいがる。とかく無理しがちな現代人必読の“がんばらなくてもいい”と思える25篇。

 

Amazon商品ページより

 

読んだ感想

 

sayappie
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多少のネタバレ含みます。絶対に結末知りたくない!という方は、スルーしてくださいね。

 

ライター仲間と「おすすめ本」の話になると、必ず名前が出る群ようこさん。今回、初めてエッセイを読んでみて納得。時にフムフムと頷き、時にプッと吹き出しながら、あっという間に読了。肩の力を抜いて楽しめる本でした。まさか吹き出すほど面白い本だとは思ってもいなかったので、良い意味で裏切られました。

 

(多少のネタバレになりますが)最も面白かったのが、「年を取ると、おじさんとおばさんの区別が難しくなる」話。そこまではなんとなく予想できたものの、その後の「おじさんに間違われたおばさんの行動」は予想外!悩んだ末に「お、お、おじさ~~ん!」と声をかけてきた小学生を傷つけないよう、おじさんを演じた「おばさん」。こんなおばさんに私もなりたい。笑

 

内容は更年期の話が中心。そろそろ他人事ではなくなったと感じている私にとっては、参考になる部分も多くありました。この先、少しずつ体や心に変化が訪れても、無理せずそのまま受け止めていけば良いのね、と気持ちも楽に。

 

「ぬるい生活」とあるけれど、そんなにぬるくはない。思うに、群さんはとてもストイックな一面もある方ではないかなと。きっと、様々なことを経験された後に、「ぬるく流す」方法を見つけて、体や心のバランスを取っているのではないかな~と勝手ながら想像しました。

40代中盤に差し掛かり、「まだまだ頑張らなくちゃ!」と思っていたけれど、頑張れなくなったら私もぬるく流しちゃお~とゆったりした気持ちになりました。

 

 

更年期の診断

 

最近、気分の浮き沈みが激しい。

前よりもイライラすることが増えた。

体調もなんだか優れない。

 

アレコレ検索した結果、「更年期の症状かもしれない」と思い至った私。(群ようこさんの読書レビューなのに自分の話ですみません…)予約して訪れた婦人科は、なかなかの混雑っぷり。順番を待ちながら、待合室で問診票に回答をしていく。

「最近イライラすることが増えた」「よく汗をかく」

当てはまる項目の多いことにビックリ。

「これはもう、更年期確定だ」

確信しながら待つこと20分。番号を呼ばれて入った小さな診察室で問診票を先生に渡し、気になる症状を伝える。すると先生から一言。

 

「残念ながら、更年期ではないですね」

 

私の場合、更年期に当てはめるにはまだ年齢が若いこと、生理の周期がしっかりしていることから「更年期」との診断には至らなかったらしい。

しかし私には、診断結果よりも先生の「残念ながら」という言葉が引っかかった。

更年期ではない事が、どうして「残念」なんだろう。
更年期だったほうが良かったって事?

 

悶々としながら話を聞き続けると、

「更年期の診断になった場合には、プラセンタ注射も保険適用になるんですけど、今の場合だと実費になります。」

 

ああ、なるほど。

だから、「残念ながら」だったのね。

 

結局プラセンタ注射は受けなかったが、帰り道に私は別のことを考えていた。

先生の「残念ながら」は、「残念ながらプラセンタ注射の保険適用は無理です」の意味だったが、私が咄嗟に感じたのは別の「残念ながら」だった。

 

残念ながら」更年期ではなかった私。
「更年期ではない」と診断されたことによって、最近感じていた不調やイライラは説明がつかなくなってしまった。

「更年期」と診断されてしまえば、「あー、やっぱりね」と、最近体調が優れないことも、気分がズドーンと沈んで悲しくなることも、イライラムカムカすることも全部説明がつくと思っていた。

更年期が落ち着けばこの状況もきっと落ち着くのだろうと、見通しがつくような気がしていた。

それが、「更年期ではない」と言われたことによって、不安な気持ちが宙ぶらりんになっている。

 

婦人科の先生が最後に話していた言葉を思い出す。

「体調や心に不調が出るのは更年期だけが原因じゃないですから。男性も女性も色々ありますよ。年齢を重ねて、何も不調がない人のほうがよほど珍しい。」

 

ふと、群さんのエッセイのあとがきに書かれていたことが頭をよぎった。

 

体調がいいぞ!と心底叫べる日など1日もなかったけど、思うようにいかない中でも見つけられる小さな幸せもあった。

 

確か、こんな感じで書かれていたと思う。

年齢を重ねて、みな何かしらの不調を抱えている。だけど年齢を重ねたからこそ知れた「幸せ」「やりがい」もある。

いいタイミングで群さんの本と出会えたな、と嬉しくなった。他の作品も読んでみよう、と帰り道の足取りが軽くなる。

体や心におこる変化を全て楽しむのは難しいけれど、無理せず、でも諦めず、自分らしく毎日を過ごしていけば良いのよね、と心が軽くなった。

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