sayappieの森 【第一話】言葉で広がる世界

sayappieの森
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こんにちは。sayappieです。

いつもシュフノメを読んでいただきありがとうございます。

私は文章を書くことが好きなので、webライターの仕事を楽しく続けています。シュフノメという自分のサイトを作ってからは、より自由度が増しさらに仕事が楽しくなりました。しかし、書き続けるうちに私の中に「もっともっと自由に書きたい!」という気持ちが芽生えてきました。

SEOや検索ニーズなど、ブログ運営で大事なことも一切抜きにして自分の思うことを思うままに書いてみたい!そう思って、シュフノメの中にお部屋を借りることにしました。

「sayappieの森」、Twitterではつぶやききれない、でも記事にまとめるようなことでもない……そんな宙ぶらりんな話を思うままに書いてみたいと思います。つぶやきが集まって、いつか言葉の森ができればいい。自分の想いの森を実現させるべく、片隅に種を撒きたいと思います。

 

【第一話】言葉で広がる世界

sayappieの森、書いてみようと思ったきっかけは一冊の本。宮下奈都さんの「羊と鋼の森」。タイトルにしっかり影響を受けている。笑

 

「才能があるから生きていくんじゃない。そんなもの、あったって、なくたって、生きていくんだ。あるのかないのかわからない、そんなものにふりまわされるのはごめんだ。もっと確かなものを、この手で探り当てていくしかない。」

 

この台詞をネットで見た時に、この本は絶対に面白い!と直感。そして期待通り。

2016年に本屋大賞を受賞、2018年には山崎賢人主演で映画化。遅ればせながら先日DVDで鑑賞した私は、今も余韻に浸っている最中だ。

主人公はピアノの調律師を目指す青年。調律という仕事に魅せられながらも、自分の才能と葛藤する。先輩調律師やピアニストとのかかわり合いの中で、少しずつだが確実に成長をしていく。

映像を見ているだけで森の匂いすら感じられるような、美しい風景。

森を抜けた先に光が差す。

仕事に迷い歩き続けながらも、一筋の光を見出す主人公の心情とリンクしているのが印象的だった。

ピアノに疎い私でも、作品の中では終始その音色に癒された。

美しい音楽を作り出すには、ピアニストの苦悩や努力、調律師の確実な仕事があるのだと知る。調律師の世界の話だが、ライティングの世界にも通じる部分がいくつかあり、思いがけず胸に刺さった。

相手が欲しい音をイメージする。
相手のイメージと自分のイメージは同じかどうかを擦り合わせる。
ピアノの音を届ける。

ライターの仕事も似ている。

相手に響く言葉、相手が欲しい言葉を探す。
紡ぐ。
届ける。

だからこそ、後半の台詞が自分事として胸に響いたのかもしれない。

「才能っていうのはさ、ものすごく好きだっていう気持ちなんじゃないか。どんなことがあっても、そこから離れられない執念とか、闘志とか、そういうものと似てる何か。」

調律師としての才能に悩む主人公に先輩がかけた言葉。

私も文章を書くことが好きだ。

だけど、才能があるのか、このまま続けていて意味はあるのか、他の仕事をしたほうがいいのではないか、と思ったことも数え切れないほどある。そして思う。

たとえ今辞めたとしても、きっと心はずっと書くことに縛られる。

好きなことを手放したことに、きっとずっと後悔する。

 

「もし自分に奇跡の耳があったら、奇跡の指があったら。」

主人公が考えたことを、誰しも一度は思ったことがあるのではないだろうか。

絵を描く才能があったら、サッカーの才能があったら、文章の才能があったら。

一流と言われる人たちは、才能だけで一流になったわけではない。もちろん、最初から抜きん出たセンスがあった人もいるだろう。それでも、センスがあってもなくても、そこから離れられずに努力したり闘ったりしているのではないか。

 

すぐには芽が出ないかもしれない。自分の思ったような場所には、まだまだたどり着けないかもしれない。

「それでも私はこの仕事を続けたい」

と強く思わせてくれた作品だった。

 

昔話になるが、私は幼い頃ピアノで挫折している。

自分からやってみたいと言い出し、近所のピアノ教室に通っていた。

軽やかにピアノを弾く姿や、合唱コンクールでピアノ担当になることに憧れもあったが、私の指は私がイメージするようには動いてくれなかった。そこで踏ん張って頑張ればまた少しは違ったのかもしれないけれど、私は諦めてしまった。

あれから30年。

40過ぎた私は今、自分の「好き」なことをしていると感じる。

納得いかない仕事を振られたり、原稿の修正が山のようにきたり落ち込むこともあるけれど、それよりも「好き」な気持ちが勝つ。理不尽も落ち込みもエサにして、どんどん大きくなれる自分を信じている。

 

鍵盤の上では思うように動かなかった指が、キーボードの上ではスラスラ動いている。

ピアノという音楽で自分の世界を広げることはできなかったけれど、キーボードから生み出された言葉で世界が広がっていく。私の表現したいこと、想いを形にした言葉が飛んでいく。

紡いだ言葉で世界が広がり、自分の言葉で森ができるなら私の人生はHAPPYだ。

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