「ガリレオ再始動」のキャッチコピーに裏切りなし!ガリレオシリーズ9作目となる『沈黙のパレード』を読みました。一気に読み進められる読みやすさと爽快感! 東野圭吾の本は多数読み、映像化された作品もほとんど見ましたが…やはり期待を裏切らない!
今作も安定の面白さでした。ガリレオ再始動、続編を期待します!
あらすじ
容疑者は彼女を愛したふつうの人々。
哀しき復讐者たちの渾身のトリックが、湯川、草薙、内海薫の前に立ちはだかる。
突然行方不明になった町の人気娘・佐織が、数年後に遺体となって発見された。
容疑者はかつて草薙が担当した少女殺害事件で無罪となった男。だが今回も証拠不十分で釈放されてしまう。
さらにその男が、堂々と遺族たちの前に現れたことで、町全体を「憎悪と義憤」の空気が覆う。
かつて、佐織が町中を熱狂させた秋祭りの季節がやってきた。
パレード当日、復讐劇はいかにして遂げられたか。殺害方法は?アリバイトリックは?超難問に突き当たった草薙は、アメリカ帰りの湯川に助けを求める。
第一作『探偵ガリレオ』の刊行から二十年――。
シリーズ第九作として、前人未踏の傑作が誕生した。
※あらすじ引用先:『沈黙のパレード』東野圭吾 | 単行本 – 文藝春秋BOOKS
https://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784163908717
読み終えた感想
ガリレオシリーズはドラマも高視聴率だったので、福山雅治をイメージしながら読む方も多いのではないでしょうか? 改めて、「配役ピッタリ!」という感想です。
草薙をどなたが演じていたのか思い出せず、(北村一輝さんでした)ずっと宮下草薙の草薙をイメージしながら読んでしまったため、草薙のシーンだけ若干緊張感が薄らいでしまいました(笑)
北村一輝さんだったら渋いシーンになったであろうに…早く検索してみれば良かった。
映画化希望の声も多く、近いうちに映像化されるかもしれません。登場人物のキャラクターもさることながら、パレードの風景などビジュアル映えしそうな場面も多々あるため、ぜひ映像化してほしい作品です。
宮下草薙がキャスティングされる可能性は低いでしょうが…楽しみに待ちたいと思います。
さて、読み終えての感想ですが、まず感じたのがタイトルの秀逸さ。お見事です。
物語には黙秘を続けることで無罪となった犯人の他にも、様々な人の「沈黙」が登場します。何のため、誰のための「沈黙」なのか。賑やかなパレードと対比するように静かに復讐が遂げられます。
物語は一旦、収束を迎えますが「いや、そんなに甘くない。東野作品は絶対これで終わりじゃない」と警戒していたら…やっぱり! 「このまま終わらない」とまでは予想できても、その後の展開は予想できず最後まで楽しめました。
後半、容疑者側の視点が時系列で丁寧に描かれており、物語にグっと入り込むことができました。
他人の人生を自分の人生のように感じ、夢も未来も投射してしまう。
物語は教え子とマネージャー(的な関係)でしたが、これ親子の間でも十分にあり得る話だなと感じました。
子どもの人生を自分の人生のように感じ、全力投資してしまう。しかし、子どもの人生が自分の意図と異なる方向へ行こうとしていたら…それを冷静に受け止められるのだろうか? とかそんなことを考えてしまいました。
誰が悪いというわけではなくても、気持ちが行き違い悲劇を招くことがあるのだな、と。
そしてそこに「真の悪」が絡んでくると、事態は収拾がつかなくなってしまう。
湯川教授のセリフの中に「容疑者Xの献身」を彷彿とさせるものがあり、シリーズで繋がっていることを実感できます。容疑者Xの献身、小説も映画も良かったですが、堤真一さんの演技が圧巻だったのでまだ見ていない方には映画がオススメです。
イヤミスのように読後の苦味もなく、個人的にはスッキリ読み終えることができた作品でした。
読書の秋。極上のミステリーにじっくり浸ってみてはいかがでしょうか?
東野圭吾作品こちらもオススメ!
東野圭吾作品はドラマ化、映画化されているものも多数あり認知度も抜群です。
オススメの作品は色々あるのですが…その中でも、ガリレオと同じシリーズ物ということで「加賀恭一郎シリーズ」は外せないのではないでしょうか。
2010年には加賀恭一郎シリーズの「新参者」が阿部寛主演でドラマ化されました。
ガリレオの福山雅治もピッタリだったけど、こちらの阿部寛もイメージピッタリ!
キャスティング力の高さに感動です。
物語はキレ者の刑事である加賀恭一郎を中心に展開していきますが、事件解決だけでなく常に人間模様がテーマとなっています。特に「親子」に焦点を当てたテーマが多く、毎回考えさせられる深い話になっています。
ガリレオシリーズの湯川教授は科学で謎を解く天才科学者でしたが、加賀恭一郎は鋭い洞察力で謎を解いていきます。加賀恭一郎の人間味あふれるキャラクターが、このシリーズの人気を支えているといえそうです。
加賀恭一郎シリーズの中で一番好きなのが「祈りの幕が下りる時」です。
2013年にシリーズ10作目として刊行され、2018年に映画化されました。
映画館で泣きっぱなし。
松嶋菜々子の熱演もさることながら、事件の悲しさ、親子の絆…見応え十分でした。
「悲劇なんかじゃない。これが私の人生」
単行本の帯に記されていたこの言葉が全てを物語っているような映画でした。
加賀恭一郎シリーズを見てきた私としては、事件が恭一郎の母親に繋がっていくのもハラハラしましたし、やはり涙なしでは見られませんでした。
ずっと気になっていた母の行方が明かされてホッとした一方で、これで加賀恭一郎シリーズは本当に完結してしまうんだと寂しい気持ちにもなりました。
完結にふさわしい作品だったと思います。まだ見ていない方は小説でも映画でもぜひ!
加賀恭一郎シリーズを見るならコレも忘れずに!
2012年に映画化された「麒麟の翼」です。
こちら、物語が面白いのはもちろんですが、キャストが豪華!
若き日の松坂桃李、菅田将暉、山崎賢人…
主役級のイケメン勢ぞろい、ぜひ映像でご覧いただきたい一作です。
もちろん、小説ならではの良さもあるので小説もオススメですよ!
ステイホームで「おうち時間」が増えた今、読みたかった本や見たかった映画などゆっくり楽しんみてはいかがでしょうか?