過敏性腸症候群(IBS)に悩む中で、色々な薬を処方されました。自分に合っていると感じたものもあれば、正直合わなかった薬もあります。過敏性腸症候群(IBS)の症状にはどのような薬が処方されるのか、また私は実際飲んでみてどうだったかをお伝えしたいと思います! 市販薬、漢方は効くのかどうかも気になるところだと思いますので、合わせてご紹介させていただきます。
過敏性腸症候群(IBS)の原因や症状、私が過敏性腸症候群(IBS)と診断されるまでについてはこちらの記事でまとめてあります。改善策についても書かせていただきましたので、ご覧いただけると嬉しいです!→(過敏性腸症候群(IBS)体験談ブログ 診断され10年悩んだ私が見つけた改善方法)
過敏性腸症候群(IBS)の治療は何から始まる?
過敏性腸症候群(IBS)と診断されたら、どのように治療が始まるのでしょうか?
まずは生活習慣の改善を指導されます。生活習慣の指導として、下記のようなことをアドバイスされました。
・睡眠をしっかりとる
・適度な運動を心がける
・食生活に気をつける
・ストレスを溜めない、ストレス解消方法を見つける
ストレスというと精神的なものを連想しがちですが、身体のストレスも腸に影響を及ぼすそうです。疲れが溜まっていたり、睡眠不足が続いていたりすると、それがストレスとなり下痢や便秘の原因になることもあります。
睡眠時間が十分に確保できない場合には、睡眠の質に気を配ってみてはいかがでしょうか。眠る前はスマホやPCなどの光を見ない、眠る前に軽くストレッチをするといった一工夫で眠りの質も高まります。
適度な運動は、腸の動きを促す意味でも効果的だそうです。身体を動かすことと同様に、身体を冷やさないようにすることも大切です。食事や飲み物は温かいものにする、シャワーではなく湯舟に浸かる…等、身体を温めることを意識しましょう。
お腹の調子が悪い時には、脂っこい食事やコーヒー、香辛料などの刺激物も良くありません。消化に良いもの、胃腸に負担をかけない食事がオススメです。また、ストレス解消としてアルコールを摂取する方も多いと思いますが(私もそうです。笑)お酒は腸に負担をかけるので、ほどほどに…とのことでした。
私はお腹の調子がすこぶる悪い時には、食べ物や睡眠など気を遣っているのですが、一旦症状が和らいで落ち着くと…反動で暴飲暴食してしまったり、疲れた身体を労わろうという気持ちも薄くなってしまったり。継続しないとダメですね。
過敏性腸症候群(IBS)で処方される薬にはどんな種類がある?
症状を抑える薬から腸を整える薬まで様々な種類の薬がある
過敏性腸症候群で処方される薬にはたくさんの種類があります。
下記はその代表的なものですが、私が実際に処方された薬もいくつかあります。
(※私は過敏性腸症候群の下痢型or混合型と診断されています。そのため、リサーチしているのは主に下痢型に使用される薬です。)
・セロトニン5-HT3受容体拮抗薬 【薬品名:イリボー】
過敏性腸症候群下痢型に処方される代表的な薬です。脳と腸の間の情報伝達に重要な物質とされる「セロトニン」の作用を抑え、下痢症状を抑えます。発売当初は男性にしか効果がないとされていましたが、現在では性別を問わず処方されています。
・高分子化合物製剤 【薬品名:ポリフル、コロネル】
便に含まれる水分量を調整する薬です。薬本体が水分を吸うことで膨張し、ゲルのような形になります。過敏性腸症候群(IBS)下痢型の場合には、腸内の過剰な水分をゲルが吸うことで改善が期待でき、過敏性腸症候群(IBS)便秘型の場合には腸の内容物を増やして便通を促すことが期待できます。
・消化管運動調整薬 【薬品名:セレキノン】
「調整」という名のとおり、消化管の運動機能が行き過ぎている時、つまり下痢の時にはブレーキの役割を、便秘により運動機能が低下している時には促す役割をします。比較的おだやかな作用を示す薬のため、補助的な役割で処方されることが多いそうです。
・整腸剤 【薬品名:ビオフェルミン・ミヤBMなど】
腸内細菌のバランスを整えることで、腸の調子を整えます。大きな副作用がなく、子どもの風邪や腹痛でもよく処方されます。
・抗コリン薬 【薬品名:ブスコパン・チアトンなど】
お腹の痛みを和らげるために使用します。腸の運動を促す「アセチルコリン」とう物質がありますが、過度に作用すると腹痛の原因となるため、これをブロックすることで腸の運動を落ち着かせます。
その他にも、症状に応じて抗不安薬や漢方などが処方されることもあります。
処方された薬が合わないと感じたときには
一般的に評判の良い薬でも、自分には合わないこともあります。
私は過敏性腸症候群(IBS)と診断されて最初に処方された薬がイリボーでした。「過敏性腸症候群(IBS)の下痢型にとても効く薬です」と言われ、とても期待していました。
飲み始めてまだ3日目か4日目のころ、急に腹痛に襲われました。
下痢が酷かった頃なので、腹痛の痛みはよくあること、いつものようにトイレへ向かいました。
ところが!
出ないんです。
痛みだけ続くのに、ずっと便が出ない。
冷や汗ダラダラで、気が遠くなるような時間でした。
それでも、気を持ち直してまた服用を続けました。
「せっかく病院で2時間も待ってもらった薬だし」「飲み続ければ効果が出るかもしれないし」
しかし、その数日後にまた同じ症状が出ました。あまりの辛さに「これなら下痢が続くほうがまだマシ!」と思って服用を辞めてまた病院へ行きました。
お医者さんいわく、過敏性腸症候群(IBS)の症状に個人差があるように、薬にも患者さんに合う合わないがあるそうです。そして、こればっかりは実際に服用してみないと分からないと言われました。
「症状が酷くなっているとか、合わないな、と感じたら遠慮せずにまた受診してください」と言われました。
過敏性腸症候群の治療薬として挙げられている薬はたくさんあります。自分に合った薬を見つけるためにも、合わないと感じた時には我慢せずに再度受診することをおすすめします。
過敏性腸症候群(IBS)に効く市販で買える薬が知りたい!
過敏性腸症候群(IBS)に効く市販の薬はあるのでしょうか?気になったので調べてみました。
風邪薬や頭痛薬は薬局で済ませてしまうことが多いため、よく薬局に行きます。パッと見た感じだと、整腸剤や下痢止めは目にすることが多いですが、過敏性腸症候群の治療に特化した薬というのは見たことがありませんでした。
しかし、ネットでこんな薬を見つけました。
田辺三菱製薬|セレキノンS 過敏性腸症候群(IBS)の再発症状改善薬
「セレキノンS」は消化管運動調整薬で、腸の運動を正常化する作用があります。
腸の動きが活発になっているときは抑制し、低下しているときには促す役割があるため、下痢型、便秘型、混合型どのタイプでも使えます。(※ 田辺三菱製薬|セレキノンS 特長 より一部抜粋)
ただし、「セレキノンS」を購入できるのは、以前「過敏性腸症候群(IBS)」と診断された方に限るそうです。繰り返す下痢や便秘は他の重篤な疾患の可能性もあるため、過敏性腸症候群と診断されていない方については医療機関の受診を勧めています。
過敏性腸症候群と診断を受けている方については、薬剤師や登録販売者がチェックの上で購入できるそうです。どうしても病院へ行けないときや休診日などに備えて、医療用と同成分の薬が市販で買えるのはとても助かりますね。
過敏性腸症候群(IBS)に漢方は効く?
過敏性腸症候群(IBS)の治療に漢方が使用される理由
漢方は過敏性腸症候群(IBS)が認知されるよりも前からある医学ですが、古来より胃腸の機能が重視されていました。生薬の力により、体幹や胃腸を温める効果もあるためIBSの治療として処方されることも多くあります。
漢方の根源は、「気(エネルギー)、血(血流)、水(水分)の3要素がうまく巡って健康が維持される」という考え方です。
不調や病気の際には、「体質や症状から気血水のバランスを見て、不足しているものは補い、滞ったものは流す」ための処方がされます。一見同じ症状でも、体質や経過日数によって処方される薬が異なるというのも漢方の特性といえます。
過敏性腸症候群の大きな要因のひとつが、不安や緊張感に伴うストレスです。「気」の流れを整える漢方は自律神経を落ち着かせる意味でも、過敏性腸症候群に効果があると考えられています。
よく処方される漢方【桂枝加芍薬等】
【効能・効果】
虚弱体質で腹部膨満感があり、ふだんから胃腸が弱い人の下痢や便秘などに用いられる薬です。過敏性腸症候群に用いられることがあり、特に下痢型に有効です。
「桂枝湯」を基本に「芍薬」の量を増やした処方です。腸の過剰なぜんどう運動や緊張を抑えるため、過敏性腸症候群の改善が期待できます。
【配合生薬】
芍薬(シャクヤク)、桂皮(ケイヒ)、大棗(タイソウ)、甘草(カンゾウ)、生姜(ショウキョウ)
よく処方される漢方【小建中湯】
【効能・効果】
「小建中湯」は、胃腸を意味する「中」を「建て直す」薬です。疲労倦怠感、寝汗、動悸、腹痛、冷え、頻尿などの症状があり、腹直筋が緊張しているような場合に使われます。胃腸の調子をよくして体力をつける作用があるため、胃腸が弱く、神経質で、緊張するとおなかが痛くなったり、過敏性腸症候群の人などの腹痛に用いられます。
【配合生薬】
芍薬(シャクヤク)、 桂皮(ケイヒ)、 大棗(タイソウ)、 甘草(カンゾウ)、 生姜(ショウキョウ)、膠飴(コウイ)
よく処方される漢方【半夏瀉心湯】
【効能・効果】
体力が中程度で、みぞおちのつかえ感があり、吐き気、食欲不振がある、おなかがゴロゴロ鳴って下痢がちといった人に向き、急性・慢性の胃腸炎、消化不良、胃下垂、下痢、軟便、二日酔い、胸やけ、口内炎などに用いられます。ストレス性の症状に特に効果的とされており、神経性胃炎や神経症などによく用いられます。
【配合生薬】
半夏(ハンゲ)、黄?(オウゴン)、乾姜(カンキョウ)、人参(ニンジン)、甘草(カンゾウ)、大棗(タイソウ)、黄連(オウレン)
よく処方される漢方【人参湯】
【効能・効果】
古くから日本人になじみのある生薬「人参」(薬用人参)を主として配合されたものが「人参湯」です。胃腸全般の調子をよくする薬で、やせていて体力がなく、冷え症の人の、胃腸が弱い、下痢、嘔吐、胃の痛み、腹痛、胃炎(急性・慢性)というような症状に使われます。胃腸の働きが不調な人、食欲がない高齢者、大病のあとや手術後などで体力が低下した人などにも向いています。
【配合生薬】
人参(ニンジン)、甘草(カンゾウ)、蒼朮(ソウジュツ))、乾姜(カンキョウ)
※漢方の効能・効果、配合生薬についてはこちらのサイトを参照させていただきました。
自然と健康を科学する 株式会社ツムラ
過敏性腸症候群(IBS)と診断された私が実際に処方された薬
自分に合った薬はいつか必ず見つかる!
最初に過敏性腸症候群(IBS)と診断された時に処方されたのが、【イリボー】+【整腸剤】でした。
これで腹痛とサヨナラできると期待を抱いて服用しましたが、残念ながらこの薬は私には合いませんでした。
その次に処方された薬は【ポリフル】+【整腸剤】でしたが・・・イリボーを服用した際に味わった腹痛がトラウマとなり、薬が飲めなくなってしまっていました。
「イリボー」と違う薬だから大丈夫、と頭の中では分かっていても服用後に少しでも腹痛の気配があろうものなら「またあの時のような痛みが襲ってくるかも」と、ちょっとしたパニックに。
恐怖感が先行してしまい、満足に服用できないことが情けなくもありましたが、お医者さんに直接相談してみることにしました。そこで勧められたのが漢方薬でした。
「漢方薬は効き目が緩やかだけど、その分、大きな副作用もないし。ゆっくり体質改善していく気持ちでやっていきましょうか」と言われました。
それからは【漢方薬】+【整腸剤】と言う組み合わせの処方が主になりました。
漢方は、桂枝加芍薬湯、大建中湯、半夏瀉心湯、人参湯・・・・などたくさんの種類を試してみました。
1ヶ月くらい服用してみて、症状の頻度や重さが変わらない場合は他の漢方を試す…といったことを繰り返していきました。
効き目を実感できる漢方も多く、中でも半夏瀉心湯は1年以上服用していました。
それでもやはり悪化することもあり、良くなったり悪化したりを繰り返しながら、現在は2年以上下記の薬で落ち着いています。
啓脾湯(漢方)+ラックビー(整腸剤)+レバミピド(胃粘膜を保護する薬)です。
啓脾湯は下記のような効能があります。
【啓脾湯:効能・効果】
やせていて顔色が悪く、体力があまりない人に向く胃腸の働きをよくする薬。食欲がない方の、消化不良、下痢の場合に用いられる。下痢は泥状・水様便の場合が多い。慢性胃腸炎、病後の胃腸強壮にも用いられる。
私は痩せてもおらず顔色も悪くないのですが(笑)、なぜかこの漢方が合っているようで症状が落ち着くようになりました。
現在は回数を減らしたり、症状によってレバミピドを抜いたり調整しながら服用を続けています。
また、頓服としてブスコパン(痛み止め)+芍薬甘草湯(漢方)も出してもらっています。
どうしようもなく腹痛で苦しい時、腹痛だけど出かけなくてはいけない時など、数えきれない程ピンチを救ってくれた頓服です。これを飲んでしばらくすると落ち着くことが分かっているので、私にとってはお守り代わりで持っているだけで安心できる薬です。
ブスコパン、芍薬甘草湯はそれぞれネットで購入することもできます。
また、漢方で効果が実感できる方は養命酒もオススメです。身体全体を温めることで免疫力がアップし、過敏性腸症候群だけでなくウィルスにも負けない強さを内側から作ります。飲んだ後に身体がポカポカしてくる感じはクセになりますよ。
自分に合った病院を見つけることも重要
過敏性腸症候群を治したい、少しでも症状を和らげたい一心で色々な病院へ行きました。内科、消化器内科、胃腸科、大腸肛門科、漢方内科…
親身になってくれるお医者さんもいれば、心無い一言を言われたこともあります。
「検査でも異常はないから、気にしすぎじゃないですか」
「大袈裟に考えすぎじゃないですかね」
「週に1、2回の下痢なら、そこまで生活に支障はないし、そんなに深刻じゃないでしょう?」
悪気なく言われた言葉かもしれませんが、過敏性腸症候群で苦しんでいる私にとってはグサグサ突き刺さりました。
今だったら「倍返しで言い返してやりたい!」と怒り心頭のところですが、前日まで腹痛で苦しんでいてやっと病院へ行ったような当時の私は、言い返すような気力はなく、ただただ悲しい気持ちと絶望感でいっぱいでした。
私が悪いのかな、気にし過ぎなのかな、と落ち込むほど症状も酷くなっていくような気がしました。
今、お世話になっている病院を最初に受診した時にも、これまでの経過を先生に話しながら怖い気持ちがありました。
また何か嫌なこと言われるのかな?
また「気にしすぎ」って言われるのかな?
以前、別の病院で言われた言葉が頭の中を巡り暗い気持ちになりました。一通り話し終えた後、先生から言われた言葉に救われたのを覚えています。
「じゃあ、違う漢方を試してみましょうか。漢方ってね、こんなに種類があるんですよ。だから合わなかったらまた違うやつ試してみたらいいから、気長にやってみましょうよ。」
あっけらかんと言いながら手元に広げた漢方の一覧には、無数の漢方薬が並んでいました。
その言い方につられて私もあっけらかんと「これ全部試したら、私に合う薬も見つかるかもな」とそんな風に感じました。
そして、私の気持ちを「考え過ぎ」「気にし過ぎ」と切り捨てることなく、寄り添う言葉をかけてくれたことを嬉しく思いました。
私が、焦らず長い目で過敏性腸症候群(IBS)と付き合っていこうと思えたきっかけでした。
自分に合った薬を見つけることも大切ですが、自分の気持ちを理解してくれるお医者さんを見つけることは前向きに進む大きな一歩になります。
過敏性腸症候群(IBS)の治療には自分に合った薬と信頼できるお医者さんを見つけることが大切
胃腸は「心の鏡」と言われています。不安な気持ちは過敏性腸症候群(IBS)の症状を更に悪化させる要因ともなります。
信頼できるお医者さんや自分に合った薬を見つけることは、症状はもちろん、気持ちを落ち着かせることにも繋がります。
薬が合わないと感じても、病院が合わないと感じても、落ち込む必要はありません。
薬も病院も、たくさんの種類があります。
その中から、あなたに合うものが必ず見つかります。
私はまだ完治はしていませんが、症状が和らぐきっかけになった漢方薬や、いざという時に頼れる頓服を見つけたことで、気持ちも落ち着きました。
外出先でも旅行先でも、過敏性腸症候群のことばかり考えていましたが、今では外出そのものを楽しめるようになりました。完治するにはまだ時間がかかるかもしれませんが、対処法を見つけたことで気持ちが楽になりました。
過敏性腸症候群(IBS)に悩む全ての人が、心から外出を楽しめる、自分のやりたいことを思い切りできるよう応援しています。私が試した方法や改善できた方法が役に立つことを願いながら、引き続きご紹介していきたいと思っています!
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