過敏性腸症候群(IBS)と診断されて10年。常に自分のお腹の調子が気になったり、外出先でも真っ先にトイレの場所を確認したり…時には泣きたくなるくらい辛いこともありました。自分の生活が過敏性腸症候群(IBS)によって左右されてしまうことが嫌で「なんとか改善したい!」と思い続けて10年。病院に行ったり、ネット検索したり、本を読んだり…色々な方法を試してきました。もしかしたら私が試してきたことの中に、同じように過敏性腸症候群(IBS)で悩む方のお役に立つことがあるかもしれない、と思い書かせていただくことにしました。少しでもお役に立てれば嬉しいです!
過敏性腸症候群(IBS)とは?
過敏性腸症候群(IBS)の主な症状
過敏性腸症候群(IBS)とは、大腸に炎症などの症状がないにも関わらず、お腹の痛みや不調が続く状態のことをいいます。消化管の機能障害とされていて、腹痛を伴う便秘や下痢が慢性的に続きます。
過敏性腸症候群(IBS)は3つの型に分類されるといわれています。
・便秘型…硬い便・コロコロ便が多い。女性に多いタイプ。
・下痢型…泥状便・水様便が多い。男性に多いタイプ。
・混合型…便秘型と下痢型の混合タイプ。
日本消化器病学会(※)によると、およそ10%の人がこの病気であるといわれているよくある病気だそうです。
ただし、症状の程度はそれぞれで、ちょっと気になる程度の人から深刻な場合には日常生活に支障をきたす場合もあります。私も含め、過敏性腸症候群(IBS)で悩んでいる人はおそらく「日常生活に支障をきたす」レベルの状態であり、そのため悩みも深刻です。
※参照元:過敏性腸症候群(IBS)ガイド|患者さんとご家族のためのガイド|日本消化器病学会ガイドライン
過敏性腸症候群(IBS)の原因は何?
はっきりした原因は分かっていませんが、一般的にIBSの原因としてまず疑われるのが「ストレス」です。
脳と腸は神経で繋がっていて、脳が不安やストレスを感じると腸の動きに影響が出るそうです。この脳からの信号に腸が過敏に反応してしまい症状が出てしまうのが過敏性腸症候群(IBS)の特徴とされています。
学校へ行ったり、仕事をしたり、子育てをしたり…
生活をする中でストレスをゼロにすることは無理ですが、自分のストレスは何が原因なのかを知って減らすことはできるかもしれません。
また、ストレス以外にも食事や生活習慣が原因になっていることもあるそうです。
私が病院で言われたことも同様のことでした。
【病院で受けたアドバイス】
・食事面…脂っこい食事や香辛料、コーヒー、アルコールなどの刺激物は腸に負担をかけるので避けたほうが良い
・生活習慣…睡眠時間を確保できるように。運動不足だと腸が動かないので、軽い運動を心がけたほうが良い
これを守ったからと言ってスパっと治ったりはしませんでしたが、規則正しい生活や食事は免疫力を上げるという意味でも大切だと感じました。
過敏性腸症候群(IBS)は一向に良くなりませんでしたが、食事面や生活面に気をつけていたことで、風邪をひいても割とすぐ治る、家族みんながインフルエンザになっても自分だけかからなかった、など免疫力を実感した場面もありました。
これで過敏性腸症候群(IBS)も治ってくれればめでたしめでたし、だったのですが…そんなに甘くはないようでした。
過敏性腸症候群(IBS)で病院を受診するときのポイント3つ
私もそうでしたが、まず受診するまでに悩みます。
「お腹痛いくらいで病院行く必要ある?」「行こうと思ってたら治っちゃった」
でも、悩む前に一度行ってみることをオススメします!
今はネットで「過敏性腸症候群」「IBS」と検索すれば色々な知識が手に入ります。
事実、私ももう数え切れないほど過敏性腸症候群(IBS)関連の検索をしました。原因、症状、改善方法、改善グッズ、改善体操、体験ブログ…
たくさん情報が手に入る一方、情報が多過ぎて混乱状態に。そして、あふれる情報の中で何が正しい情報なのか、自分に合う情報なのかが分からず、ただただ検索難民になっていました。
実際に自分の症状を見てもらい、お医者さんの話を聞くのが一番だと思います。
一番怖いのは、自分では過敏性腸症候群(IBS)だと思い込んでいて実は違う病気だった、ということ。
その可能性を消すためにも、自分だけで判断せずに一度受診することをオススメしたいです。
実際に受診して感じた「病院で受診するときのポイント」を3つご紹介します。
- 1.経過を説明できるようメモを持って行く
- 2.今飲んでいる薬(過去に飲んだ薬)が分かるようお薬手帳を持って行く
- 3.直近の健康診断の結果を持って行く
初回の受診では、上記3ついずれも持って行かずに後悔しました…
自分の症状や最近の腹痛が起きたタイミングなど詳しく説明したいのに、上手く説明ができない! なんてことにならないためにも、メモを持って行くとスムーズに症状を伝えられますよ。
また、風邪など他の症状があり薬を飲んでいる場合は処方できない薬もあるので、お薬手帳も持参しましょう。(お薬手帳がない方は薬の写真を撮っておくか、薬ごと持っていっても大丈夫ですよ。)
過敏性腸症候群(IBS)でいくつか病院を受診しましたが、その都度言われたのが「健康診断の結果ってありますか?」の一言。
過敏性腸症候群(IBS)と診断を確定するためには大腸がんや炎症性腸疾患など、他の病気の可能性がないことを確認する必要があります。
健康診断で検便をしている場合には、潜血の結果が出ているため、そこで異常があったかどうかを確認するようです。もし潜血の結果に異常がある場合には、過敏性腸症候群(IBS)以外の病気の可能性もあるため、検査を行うことになります。
病院は内科、消化器内科などで大丈夫だと思います。こちらのサイトからも近くの病院を探すことができますので、参考までにリンクを貼らせていただきます。 →下痢型過敏性腸症候群(IBS) 病医院検索|IBSネット
私が過敏性腸症候群(IBS)の診断を受けるまで
最初に病院を受診したのが10年前です。当時、長男を出産したばかりでした。
緊張した時や、何かイベントがあったりするとお腹が痛くなることは昔からありましたが、それほど深刻ではありませんでした。受験や修学旅行、部活の大会なども問題なくこなせていました。
ところが、出産して数ヶ月。お腹の痛くなる頻度が多くなり、下痢が続きました。治まったと思っても、何日後かにはまた下痢。長男の夜泣きやお世話に慣れていなかったこともあり、「冷えたかな?」「睡眠不足?」程度に考えていました。
しかし、頻繁に襲ってくる下痢のため徐々に体力を消耗していき、トイレとの往復が辛い毎日。育児も家事も思うようにできないようになり、病院へ行くことを決めました。
病院で一部始終を説明し、まずは大きな病気がないか潜血反応を確認するため検便をすることになりました。
結果は異常なし。
腹痛と下痢以外の症状も無かったことから「過敏性腸症候群(IBS)かもしれない」という診断になりました。そこで初めて過敏性腸症候群(IBS)という病気を知りました。
自分なりに色々と調べてみましたが、「過敏性腸症候群(IBS)=ストレスが原因」という説明が多数です。お医者さんからもそう言われました。「ストレスで何か思い当たることはありませんか?」と。
思い当たるのはただひとつで、子どもが産まれて環境がガラっと変わったことです。
一日中、産まれたばかりの赤ちゃんのお世話をして夜もろくに眠れない。家の中で誰にも会わず赤ちゃんと二人きり、抱っこしてもオムツを替えてもどうしても泣き止まない時もある。可愛くて仕方ない自分の子どもなのに、涙が出るほど辛いときがありました。
でも、それを「ストレスの原因」だと決めつけてしまうと、自分の子どもを否定するようで、それが辛くて認めることができませんでした。だから「自分は過敏性腸症候群(IBS)ではない」と思いこもうとしていました。
今思うと、それが逆効果で悪化していったような気がします。
子どもの存在がストレスなのではなく、子どもが産まれたことによる環境の変化がストレスだったんだ、としっかり認識できていれば気持ちが違っていたのかな、と今なら冷静に考えることができます。当時の私は、思うようにいかない育児とお腹の不調で、そこまで考える余裕はありませんでした。
過敏性腸症候群(IBS)は改善できる?
過敏性腸症候群(IBS)に悩んでいる方が一番知りたいのが「過敏性腸症候群(IBS)は改善できるのか?」だと思います。
私も何度もお医者さんに尋ねました。
「スパッと治ることはないから、上手に付き合っていくしかないね」
だいたいどこの病院でも同じようなことを言われました。
でも、できるならスパっと治したい。常に「痛くなるかも」「痛くなりそう」とか考えたくないし、トイレの場所を確認しながら外出するのも嫌だ。お腹の悩みときれいさっぱりサヨナラしたい。
何か方法はないか、とネットで検索し続けました。「これで治った!」とあれば実践してみて、「これが良かった」と言われれば買ってみて。10年間、検索して実践し続けました。
胃カメラも大腸内視鏡も腹部超音波も…全部検査を受けました。
検査の結果は異常なし。
検索し続けて実践してみたものの、スパっと治ることもなし。
でも、10年たった今、症状が和らいできた実感があります。
もしかしたら、実践してきた何かが効いたのかもしれない。もしくは全てが少しずつ改善の要因になっているのかもしれない、と思うようになりました。
そして分かったことは、過敏性腸症候群(IBS)の症状に個人差があるように、改善方法についても個人差がある、ということです。私にはイマイチだった改善方法も、他の方にピッタリとハマる可能性もあります。
それならば、私の10年も無駄ではなかった…と思えます(笑)
実践してきた数々の方法や大腸内視鏡などの検査については長くなりますので、またの機会にご紹介したいと思います。
過敏性腸症候群(IBS)で一番効いた改善方法はコレ
過敏性腸症候群(IBS)と診断されて10年経った今、症状は以前と比べて和らいできていると感じます。
そのきっかけになったのは、次の3つを意識するようになったことかもしれません。
・自分の症状を受け入れること
・過敏性腸症候群(IBS)の正しい知識を持つこと
・できれば周りに知っておいてもらうこと
「結局、精神論?」と思うかもしれませんが、生活面や食事面で改善の余地がないなら、マインドを変えてみるというのもひとつの手段です。
過敏性腸症候群(IBS)と診断された当初は、お医者さんに「上手に付き合っていくしかないね」と言われても、「上手に付き合っていくって何?上手にトイレ探せってこと?」と不貞腐れていました。
でも10年も経つと、徐々に自分の症状について受け入れることができました。自分は腸が弱いんだ、と。体調不良でも真っ先にお腹にくるし、冷えてもお腹、ストレスを感じてもお腹にきます。
要は、お腹が健康のバロメーターなんですね。
その代わり、高熱が出ることもなければ、健康診断で引っかかることもない。よし、もうこれで良しとしよう、と。自分の症状を受け入れることで、「どうしよう」と不安になったり、やみくもに検索続けたりすることも減りました。
日本臨床内科医のサイトでも、過敏性腸症候群(IBS)の治療法として「正しい知識を持つこと」が大切であるとし
“過敏性腸症候群(IBS)は命に関わるような重い病気ではないこと、また一生続くような病気ではないことを理解することが大切です。”(※)
と記載しています。(※『過敏性腸症候群(IBS)』について – 日本臨床内科医会より一部抜粋)
過敏性腸症候群(IBS)で辛くてどん底だった私には、この言葉が響きました。いつか治る、いつか症状が軽減される、という希望が見えた時でもありました。
正しい知識を持つためには、専門の本も参考になります。もちろん、ネットの情報にも有益なものはたくさんありますが、信憑性といった意味ではしっかり監修が入る「本」もオススメです。
そして、最も効果があったのが「周りに知っておいてもらう」ことでした。
私の場合は、外出先や旅行先でも腹痛が襲ってくることがあって、その度に自分のせいで予定が狂ってしまうことへの罪悪感がありました。いつ襲ってくるか分からない腹痛にヒヤヒヤして、旅行や外出も心から楽しめずにいました。
それでも、家族に過敏性腸症候群(IBS)のことを説明し理解してもらってからは、出かけるのがとても楽になりました。突然腹痛が襲ってきても躊躇なく伝えられるようになりましたし、家族も「しばらくすれば症状も落ち着くなら、ちょっと待とうか」と、必要以上に心配することもなくなりました。
何より、「急に痛くなっても大丈夫」と思えたところが大きいと思います。
職場の人やママ友にも親しい人には過敏性腸症候群(IBS)の話をしました。ランチの予定があったのに、急に腹痛で行けなくなってしまい、その時に話したのがきっかけでした。家族以外に話したことがなかったので、どんな反応が返ってくるのかドキドキしたのを覚えています。
そのドキドキが吹っ飛ぶくらい衝撃だったのが、その友達も過敏性腸症候群(IBS)だったということ。
私ほど深刻な悩みではなかったようですが、やはり薬を飲んだり病院に通ったりしていたそうです。友人も「家族以外に初めて話したよ」と言っていました。
それ以降、他の人にも気軽に過敏性腸症候群(IBS)のことを話せるようになりました。そして驚いたのは、私が思っていた以上に私の周りにも過敏性腸症候群(IBS)を自覚している人がたくさんいた、ということです。
「悩んでいたのは自分だけじゃなかったんだ」と思うことで、勇気もわいてきました。今までは腹痛が原因で予定をキャンセルしなくてはいけない時に「腹痛ってちょっと恥ずかしい」と感じ、何か他の理由を探して言い訳していましたが…こんなことなら最初から素直に言っておけば良かった、と思いました。
悩んでいるのは自分だけじゃない
と思うことで勇気が沸いたり、希望が見えたりします。
こちらのサイトには、過敏性腸症候群(IBS)の体験談が掲載されています。20歳の大学生から50歳代の方まで、年齢、性別を問わず誰にでも起こり得る病気ということがよく分かります。
参考までにリンク貼らせていただきますね → 下痢型過敏性腸症候群(IBS) 体験談|IBSネット
今回、私の体験談を載せようと思ったのは、今、過敏性腸症候群(IBS)で悩んでいる方のために何かしたかったからです。読んでいただくことで気持ちが少しでもほぐれることがあれば、前向きに生活するきかっけに少しでもなれば…とても嬉しいです。
過敏性腸症候群(IBS)は一生続く病気ではない!症状を受け入れることで楽になることも
過敏性腸症候群(IBS)は命に関わるような重い病気でも、一生続く病気でもありません。
正しい知識を持ち、自分の症状を受け入れることで、私は気持ちが楽になりました。
その一方で、症状が出たときの脱力感、辛い気持ちもよく分かります。できることなら改善したい、その気持ちは当然です。
今日、何かを試してみたからといって明日にはスパっと治っているというような即効性のある改善策はないかもしれないけれど、長いスパンで見ると効果的な対策はたくさんあると思います。
自分で試したものの中で効果のあったものを次回からご紹介させていただきます。過敏性腸症候群(IBS)の辛い気持ちはとてもよく分かるので、何かの情報がお役に立てば嬉しいです!心身共に健康な生活に向かって、一緒に頑張りましょう!